サッカー天皇杯3回戦の、いわきFC対清水エスパルスの試合に関して、本来は下位のクラブの地元開催となるべきところが、上位である清水川のグラウンドで行われることとなった件に対して事実上の不満の
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内容を読んでみると、JFAは天皇杯の開催規約上、スタジアム要件のいくつかで地元(福島県)にそれを満たす会場が無いため、清水側のスタジアムでの開催を決定したとしており、それに対する反論をいわきFCが行った後に、JFAに不服申し立てはせずに問題提起する、として締めくくっています。
確かに結果として地元開催できなかったいわきFCが不満を持つのは分かりますが、結局、いわきFCはこれで何が言いたかったのでしょうか?
考えられる内容としては、おそらくこの2通りだと思います。
(1)天皇杯の会場規定は反論したとおり、非合理的であるので、JFAは例外的にでも地元開催を認めるべきだった。今から規約の例外を望むのは難しいので、来年以降は地元開催できるよう規約を見直すべきである。
(2)今回の件をきっかけにして、会場要件だけではなく、天皇杯全体の制度の見直しを進めるべきである。
しかしながら、(1)に関しては、いわきFCの反論がすべて正しいという場合のみ通用する論理ですが、会場の定員要件以外についてはおおむね賛否両論であり、どう見てもすべてが正しい、にはならないでしょうから、目的が達成できる可能性はきわめて低いでしょう。(定員要件だけ規約改正に持ち込み、他の要件は来年までに物理的に対応するくらいが限界だと思います)
また(3)を本当に望むのであれば、HPで投げっぱなしにするのではなく、天皇杯の見直しのため、自クラブの事情だけでなく他の複数のクラブの意見をも取り入れて働きかけるのが筋ではないでしょうか。
現代は、こうしてネットが発達して誰でも情報発信できるようになりましたが、残念ながらこういう文章や動画でのネットワーク発信というのは発信者の一方的な論調で塗り固められるため、偏った内容になるのが常です。
そのため本来何かの議論をしたいのであれば、しかるべき議論の場を用意しない限り、一方的な意見のぶつけ合いのまま平行線で終わってしまう事を念頭に置く必要がありますが、今回のいわきFCのやり方は、明らかに議論をする場を用意するつもりがあるとは見えません。
厳しい言い方ですが、今回のいわきFCの発信は、地方7部クラブ(弱者)の意見が、より上位のクラブ側に都合の良いルール(強者)に負けたというような論調を起こして、被害者として世論を味方につけたいポーズにしか見えませんでした。
確かに、今回の件が天皇杯の規約見直しのきっかけになったのは事実だとは思いますが、本当により良くするための問題提起であるならば、同じような立場にあるクラブが他にもあるのだからそういうところと連携して、きっちりと議論の場へ持ち込むべきだったと思います。
結果的に良かった、で終わらせるべき問題ではないはずです。