少し前に某大手新聞の論説で、中国製冷凍餃子の農薬混入事件の農薬が袋の外から内部に浸透するかの実験の結果が日本と中国で異なる結果が出たことについて書いていて、その結論はというと、合同で実験すれば結果が異なることはあり得なくなるのだからそうすればよい、というものがありました。
しかし、実際にはそれは実現不可能なことでしょうから、この記事を書いた記者の程度が知れるというものです。
というのも、中国側がなぜ農薬が袋の外から内部に浸透するという結果を発表したかというと、そうでなければ製造時点での混入が想定されるので犯人が中国人しかあり得なくなってしまうからです。
そして、犯人が中国人だったとすると、中国は日本に対して謝罪しなければいけなくなるところだからですが、これまで中国政府は、国民の不満を日本への反感に転嫁することで政府への反感を回避してきた上、それが行き過ぎて逆に国民の日本への反感をコントロールできなくなってきていますので、ここで日本へ謝罪をすると反日の風潮に反することになり、批判の矛先が政府の側に向いてくることが予想されるのです。
ということで、国民の批判を浴びたくない>日本に謝罪したくない>犯人が中国人であってはならない>中国人が犯人になるような証拠は出てはならない、という理屈で、農薬は製造段階ではなく輸送段階で混入したということにしたいがために、都合のいい結果が得られる条件下で実験を行ったか、あるいは結果をまるまるねつ造をしたのでしょう。
当然、こんな背景で、中国にとって不利な実験結果が出るかも知れない合同の実験など行うはずがありません。
とまあ、ここまで農薬混入事件の犯人が不明な前提で書いてきたわけですが、今更言うまでもなく、犯人は中国人の製造工場の労働者であることはほぼ間違いないのですが。
普通に考えて、犯行動機として考えられるのは、不特定の日本人に恨みを持っている者か、純粋な愉快犯の可能性しかないのですが、どちらの動機であっても、日本人がわざわざ日本では入手不可能な農薬を中国からの輸送経路の中で塗布するという非常に面倒なやり方を選ぶとはとうてい思えないわけです。(先日のアキバのナイフ殺傷事件の犯人の行動と比較すると、自分を負け組と認識している日本人が他の日本人に対して行う手口としては大きく異なることが分かるでしょう)
そして、第三国の陰謀というのも、こういう形で日中関係を険悪にすることで利益を得る他国というのも想像できません。
となると、残るは経済格差の大きい中国における低所得労働者の不満が反日と結びついて行われた行為だというのが最も自然な回答です。
ただ、前半に書いたとおり、中国政府は決して犯人が中国人であるとは認めようとしないでしょうし、その政府の意向がある限り、日中合同捜査で犯人が見つかるはずもありません。というか、中国側の捜査員こそが、証拠のもみ消しを行っているでしょうから・・・
もちろん日本政府もそのあたりは理解していて、もはや犯人を見つけての解決はできそうにないので、どうやって真相不明のまま日中関係を改善させるかに苦労しているんでしょう。
となると、冒頭の某新聞の記事は、その記者が本気で書いたというよりは、適当に正しそうなことを書いて国民の意識をくらまそうという企みなのか、とか考えるとそれはそれで面白いですがどうなんでしょう?